たったひとりで実家の両親を看取り、介護休業から復帰してしばらく経った頃のことです。

私は介護休業の疲れと、復職後に感じた職場の違和感から、心身の限界を迎えてしまいます…
そして、傷病休職に入ることを決意します。

正直に言うと、

傷病休職に入った直後は、「ほっとした」という気持ちのほうが大きかったです…
これ以上無理をしなくていい、
とにかく一度立ち止まれる――
そんな安堵感がありました。
いざ傷病休職が決まると、
日頃からお世話になっていた人事部の方が、復職時の流れについて説明を下さいました。

体調が落ち着いたら連絡してね
まってるよ!
そう声をかけてくれていました。
合わない人や環境に悩まされる一方で、支えてくれようとする人がいたのも事実です。
それでも今振り返ると、この時点ですでに、
「結果的に、退職は避けられなかったのだろうな…」と思います。
もしあのまま復職していたとしても、すぐにまた休むことになっていたはず。
少し違う順番で、同じ結果に辿り着いていただけ――
そんな感覚があります。
今回の記事では、

メンタル不調での休職から退職に至るまで、実際に起きたことを、時系列で振り返っていきます。
\この記事を書いているのはこんな人/
休職中に起きた想定外の出来事

傷病休職に入り、しばらくは「とにかく休むこと」に専念していました。
仕事のことを考えずに過ごせたことで、気持ちが少し緩んだのは事実です。
一方で、時間が経つにつれて、

このままでいいのかな…
そろそろ、復職のことを考えたほうがいいのかな…
そんな思いが頭をよぎるようにもなっていました。
そんな矢先のことです。
体のある部分に違和感を覚え、念のため受けた検査で異常が見つかりました。
紹介先の病院で詳しく調べた結果、別の大きな病気が確定します。
それは、生命に関わるものでした。
休職中にまったく別の病気が見つかるとは思っておらず、正直、頭が追いつきませんでした。

その後の流れは、驚くほど早かったです。
入院、手術、退院。
そして病理結果の説明を受け、長期の治療が必要であることが分かりました。
生命に関わる病気で、10年単位の治療と経過観察が必要だったこともあり、精神面の負担は避けられませんでした。
さらに薬の副作用によって、精神面の不調と、めまいなどの症状も出るようになります。
「復職に向けて準備する」という段階には、到底入れる状態ではなくなってしまいました。
今振り返ると、

仮に復職していたとしても、すぐに休まざるを得ない可能性が高かったと思います…
結果的に、
休職期間までに復職することは叶わず、私はこの会社を退職することになりました。
このとき私は、40歳になっていました。

当時は、
「ここまで頑張ってきたのにな…」
「色々配慮してもらったのに、気持ちに応えられなかった…」
そんな思いもありました。
でも、いま振り返ると、

このタイミングで退職になる流れは、避けられなかったんだよな。
そう感じています。
退職=失敗「ではなかった」と いま思う理由

休職期間が満了し、結果的に退職という形になったとき、正直なところ「やり切れなさ」はありました。
短時間勤務に切り替え、
会社の近くに引越しもして、
介護休業も経て、
それでも、何とか続けようとしてきた会社だったからです。
「ここまで頑張ったのに」
「結局、辞めることになったんだな…」
そんな気持ちがなかったと言えば、嘘になります。

でも、時間が経った今は、当時とは少し違う見え方をしています。
まず一つは、ようやく自分の限界を認められるようになったということです。
それまでの私は体調が悪化するたびに、
「もう少しだけ頑張れば」
「周りに迷惑をかけないように」
そうやって無理を重ねてきました。
でも当時、メンタル不調に加えて別の病気が見つかり、治療と副作用の中で生活することになったことで、
これ以上、「働き方について考えるのを、後回しにするのは良くない」と感じました。
あの状態で同じ環境に戻っていたら、心身のどこかが、もっと深刻に壊れていた可能性もあります。

もう一つ今思うことは、この会社で得たものは、決してゼロではなかったということです。
結果として退職に至ったものの、
これらは、当時の経験がなければ得られなかったものでした。
また、退職後に人事の方からかけてもらった

もし、この会社への復帰が無理だったら、他の関連企業も紹介できるよ
という言葉は、今でも印象に残っています。
すべての人が冷たかったわけでも、敵だらけの環境だったわけでもありません。

だからこそ、退職=この会社を選んだことが失敗だった とは、思っていません。
この退職をきっかけに、
自分の抱えているものを前提に、
について、初めて本気で考えるようになりました。
当時はつらく、先の見えない状況でしたが、

この経験がなければ、今の価値観には辿り着けなかったと思います…!
💡振り返り|この経験から今の私が思うこと
当時の出来事は、どこか一つの判断ミスが原因で起きたわけではないと感じています。
この会社を選んだことも、
短時間勤務に切り替えたことも、
介護休業を取得したことも、
傷病休職を選んだことも、
当時の自分なりに考えて選んだ、精一杯の判断でした。
結果として、当時の会社で働き続けることはできませんでした。
ただ今ならそれは、

「努力が足りなかったから」でも、「根性がなかったから」でもないと、はっきり言えます。
いくつもの要素が重なった結果として、この選択肢にたどり着いただけでした。
また、休職や退職を経験したことで、「働き続けること」よりも、
自分は、「どうすれば無理なく生活していけるか」を考える必要があると気づきました。
正社員であること
同じ会社で長く頑張ること
それが正解だと思っていました。

でも実際には、その前提を疑わず無理を重ねたことで、心身のバランスを崩した面が否めないです。

ここまでの経験は決して楽なものではありませんでしたが、その後の「働き方」を見直すきっかけになったのは確かです。
退職という結果にはなりましたが、この経験がのちにフリーランスという働き方に繋がっていきます。
次の話で詳しく書いていますが、興味のある方は、障害がある方がフリーランスとして働くための準備ステップをまとめた記事も先に読んでみてください。

▶ 障害者がフリーランスで働くには?準備ステップと仕事例を当事者が解説します
体験談は連載記事になっています。
前の話▶ 介護休業から復職したら喪失感と居心地の悪さが待っていた話【体験談⑦】
次の話▶ 退職後、在宅ワークを試しながらフリーランスの働き方に辿り着くまでの話【体験談⑨】
