障害を持つ方が「働き方」について調べていくと、障害者雇用枠・一般就労・在宅勤務・フリーランス…などなど、意外にさまざまな選択肢があることが分かってきます。
ただ、頭では分かっても、

自分はいま、どの段階にいるの…?
何から動けばいいの…?

ひとりで進めちゃっても大丈夫かな…?
と、不安になる方も少なくないと思います。
今回の記事では、
障害のある方がこれからの働き方を考えるとき、相談できる場所・使えるサービスについて、状況別に整理してご紹介していきます。
ここに載せているサービスは、必ず利用すべきものやひとつしか使えないもの、ではありません。
そんなふうに、いろいろな選択肢を知り視野を広げて頂くための情報としてまとめています。

今の自分に近い状況のところから、必要そうなところだけ拾って読んでもらえたら嬉しいです。
就労支援サービス(障害福祉サービス)という選択肢
(精神)障害を持っており、現在働いていない方のなかには、

まだ、転職活動を始められる段階じゃない…

体調を崩して仕事を辞めてから、調子が戻っていない…
というケースも少なくありません。

そんな状態のときには、就労支援サービス(障害福祉サービス)という選択肢が役に立つことがあります。
就労支援サービスの役割は?
就労支援サービスとは、障がいや難病などにより「一般企業で働くことに困難がある方」に対して、就職に向けたトレーニングや職場探し、就職後の職場定着までを一貫してサポートする障害福祉サービスのことです。
上記の説明にもあるように、就労支援サービスとぃうのは、これからすぐに「一般企業に就職したい方」には向いていません。
といった、社会に出る前(一般企業で働けるようになる前)の訓練機関のようなところです。

次の項では、就労支援サービスにはどんな種類があり、それぞれどんな方に向いているのかを、できるだけ客観的に整理して紹介していきます。
就労支援サービスにはいくつかのタイプがある

就労支援サービスにはいくつかの種類があり、それぞれ想定している利用者が異なります。
代表的なものとして、次の3種類があります。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
① 就労移行支援
就労を希望する65歳未満の障害者の方で、一般就労(企業への就職)を目指す方が利用できます。
利用期間(最長2年間)のあいだに以下のようなプログラムを行い、就職を目指していきます。
- 生活リズムを整える
- 働くための準備や訓練を行う
- 事業所によっては専門知識やスキルを習得する
- 就職活動のサポートを受ける
- 就職後一定期間の定着支援を受ける
このように就労移行支援では、働き始める前から就職後一定期間まで、利用者を支援していく役割があります。
② 就労継続支援A型
障害や難病によって、一般就労が困難な方が利用の対象です。
就労継続支援事業所と雇用契約を結び、安定した環境で働くタイプの障害福祉サービスです。
最低賃金が保障され、給与を受け取りながら働く能力を向上させることができます。
一般就労と比べると、業務内容や働き方には配慮があります。その一方で、ある程度は安定して通所・作業できる方の利用が前提になります。
③ 就労継続支援B型
雇用契約は結ばず、体調や生活の立て直しを優先しながら利用する支援です。
「すぐに働く」ことよりも、
・日中の居場所づくり
・社会との関わりを取り戻す
・無理のないペースで活動する
といった目的で利用されるケースも多くあります。
このように、現在どのような状態であるかにより、就労支援サービスを利用する方向性が変わってきます。

なお、このブログでは、一般就労を目指す方に向けた「① 就労移行支援」を中心に取り上げていきます。
「今の自分に就労移行支援が必要か」「どんなタイプの事業所が合いそうか」を整理したい方は、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶ 就労移行支援事業所サービスの種類と向き・不向きを詳しく見る
実際に通って分かった就労移行支援のタイプ
私は、正社員で在籍していた会社を休職していたとき、リワーク※の一環として就労移行支援事業所に通ったことがあります。※リワークとは、復職支援プログラムのことです。
当時の私は、復職期限に間に合うかどうかの瀬戸際にあり、体調がまだ万全と言えない状態でした。
当時いた会社では、休職中の社員が復職を希望する場合、就労移行支援事業所に一定期間通所することが条件になっていました。私が通っていた事業所は会社から指定されたところで、特に何かに特化したプログラムではありませんでした。
復職のための通所スケジュールは、平日5日間 × 1日6時間程度。プログラムの内容は、配られた用紙に書かれた計算をする・他の通所者が提出した用紙を採点する・事務作業を想定した模擬的な訓練を繰り返す といったような、事務系の汎用的な模擬業務が中心でした。

当時は体調と精神面に余裕がなかったこともあり、この訓練が自分の将来にどうつながるのか、前向きに考えるのは難しかった…というのが正直な感想です。
今あらためて振り返ると、体調が安定した状態で、自分の興味が持てる分野であれば、就労移行支援の利用は前向きに楽しめたかも…と思います。
就労移行支援にはさまざまな方向性の事業所があるため、就職前に学びたいことが明確な方は、プログラム内容から利用する事業所を決めるという考え方もひとつの方法です。
▶ 就労移行支援の選び方は?通所・在宅・特化型に分類して違いをわかりやすく整理します
障害者向け転職支援サービスという選択肢

障害者向け転職支援サービスは、就職・転職を前提に、企業と求職者をつなぐサービスです。
ハローワークと同じ「就職・転職支援」が目的ではありますが、転職支援サービスの場合は、
といった点が特徴になります。
就労支援サービスとの大きな違い
就労支援サービスが働く前の準備や状態の整理に重きを置くのに対し、転職支援サービスは「働ける状態の方がこれからの職場を探す」フェーズ向きの選択肢です。
そのため、
といった人ほど、活用しやすい傾向があります。
紹介される求人の特徴
障害者向け転職支援サービスで扱われる求人は、
という特徴があります。
また、サービスによっては、応募者の経歴や要望をもとに、書類選考を通過しやすい条件の求人や、障害特性への理解をある程度持っている企業の求人を優先的に紹介してもらえることもあります。
注意しておきたいポイント
一方で、転職支援サービスは万能ではありません。

今はまだ、社会復帰する自信がない…
体調の波が大きくて、転職時期を決められない…
といった場合は、紹介がうまく進まなかったり、焦りを感じてしまうこともあります。

また、担当者との相性や、利用サービスごとの得意分野(業種や障害の種類など)によって、利用者の満足度に差が出やすい点も理解しておく必要があります。
転職支援サービスは「登録して使い分ける」でOK
障害者向けの転職支援サービスは、ひとつに絞って使わなければいけないものではありません。
実際には、
というスタンスで利用している人も多いです。
転職支援サービスごとに、
- 扱っている求人の傾向
- 担当者の関わり方
- 障害や体調への理解度
には、どうしても差があります。
そのため、「どこのサービスが自分に合うか」は、実際に話してみないと分からない部分も大きいです。
また、登録したからといって、
- すぐに応募しなければならない
- 転職を決断しなければならない
というわけではありません。
今の自分の状態を伝えたうえで、
といった使い方でも十分です。
大切なのは、サービスに振り回されるのではなく、自分のペースで「使う・使わない」を選ぶこと。

転職支援サービスは、「転職を決めるための場所」ではなく、選択肢を知るためのツールの一つと考えておくくらいが、ちょうどいい距離感だと思います。
障害者向け転職サービスにはさまざまな種類があり、取り扱っている業種・職種や、想定している障害の種別にも違いがあります。
どれが自分に合うかは状況によって変わるため、特徴を整理して把握しておくことが大切です。
▶ 【公開前】障害者向け転職サービスの種類と向き・不向きを詳しく見る
まとめ
障害を持つ方がこれからの転職を考えるとき、「どこに相談すればいいのか分からない」「何から動けばいいのか決められない」と感じるケースは少なくありません。
就労支援サービスと障害者向け転職支援サービスは、どちらも「障害のある方が働くための支援」という点では共通していますが、役割や向いている状態は大きく異なります。

まだ、体調や生活リズムが安定していない…
働くイメージを作るところから始めたい。
という場合には、就労支援サービスが力になることがあります。
一方で、

症状が落ち着いて、ある程度働ける状態にある…!
そろそろ具体的な求人を見ながら転職を考えたい…
という場合には、転職支援サービスのほうが合うケースもあります。
▶ 【公開前】障害者転職サービスの特徴と使い分けを解説
大切なのは、「今の自分に合う選択肢はどれか」を基準に考えることで、どれが正解かを最初から決める必要はありません。

実際には、複数のサービスに登録したり、見学や面談を通して判断しながら、自分にとって無理のない道を探していく人がほとんどです。
焦らず、比べながら、使い分ける。
それも立派な選択のひとつです。


