就労移行支援とひとことで言っても、実は事業所ごとに支援のスタイルやプログラムの内容は大きく異なります。
通所型・在宅対応型・特定分野特化型などそれぞれに特徴があり、利用する方によって向き不向きも異なります。

「どれを選べばいいの?」と迷うのは自然なことです。
今回の記事では、就労移行支援の種類を大きく3つに分類し、違いを整理しながら、自分に合う選び方についてわかりやすく解説していきます。
就労移行支援事業所は大きく3タイプに分けられる
就労移行支援事業所とひとことで言っても、「実際にどんな雰囲気でどんな内容の訓練をするのか」というのは、事業所によってかなりの違いがあります。
「どこも同じようなことをやっていそう」と思われがちですが、利用方法・プログラムの方針・重視しているポイントなどにはかなり違いがあります。

まずは、利用方法とプログラムの方針で大分類すると、就労移行支援事業所は次の3つのタイプに分けられると考えています。
① 通所型の就労支援
定期的に決まった場所に通うことで、生活リズムを安定させることを一番の目的とする事業所。事務・軽作業訓練・対人スキル練習から就職活動のサポートまで、総合的に就職準備を進めていくタイプ。
いわゆる「王道」とされる形で、事業所数が一番多いのはこのタイプです。
通所型の例▶就職率・定着率ともに90%以上のミラトレ
② 在宅対応・オンライン対応型の就労支援
体調や障害特性の関係上、外出が難しい方が主な対象者。自宅から訓練に参加できる形式で、近年かなり増えてきているタイプ。原則として、月1回は事業所へ通所する必要ありと決められている。
在宅勤務やリモートワークでの就職を目指す方とも、相性がいいタイプです。
在宅対応型の例▶IT×在宅就労特化型のmanaby
③ 特定分野に特化した就労支援(通所型/在宅型の両方)
IT・Web・AI・事務など、特定の職種やスキル習得に重点を置いたタイプ。
「何となく社会復帰したい」というよりも、「この分野で働いてみたい」という明確な方向性がある方向けです。
特定分野特化型の例▶ AIやデータサイエンスが学べるIT特化の就労移行支援【Neuro Dive】
ここで大切なのは、いちばん良いのはどれか、ではなく、今の自分に合うのはどれなのか、です。
同じ障害を持つ方のなかでも、体調や生活状況・今までの経歴・今後についての展望などにより、最適なタイプは変わります。

このあと、就労移行支援のタイプ別の特徴・向いている方・注意点について、もう少し具体的に見ていきましょう。
通所型の就労移行支援事業所とは?

通所型の就労移行支援事業所は、事業所に定期的に通いながら、就職に向けた準備を進めていくタイプの支援です。

「就労移行支援」と聞いて多くの人が最初に思い浮かべるのが、この通所型タイプかもしれません。
決まった場所・決まった時間に通うタイプの支援機関
基本的には、
・平日週5日(通い始めは週1・2回×短時間からの利用が多い)
・1日4〜6時間程度が多い
といった形で、事業所に通所します。
この「通う」という行為そのものが、
- 朝起きて外出する
- 人と同じ空間で過ごす
- 一定時間、活動を続ける
といった、家の外で働くために必要な基礎体力づくりになっています。
体調や生活リズムを整えながら、働く前のリハビリ期間として使われることも多いです。
訓練内容は事務系中心|事業所によって幅はある

通所型の事業所はたくさんありますが、最も多いのは事務系の職種を想定した汎用性の高いプログラムを行う所です。
続いて、特定の職種や特定の障害当事者を想定したプログラムを持つ事業所が存在します。
通所型に共通する訓練内容としては、
- 軽作業・実務を想定した模擬業務
- PCの基礎操作やビジネスマナー
- グループワークやコミュニケーション練習
- 面接対策や履歴書の添削
など、「職業訓練」+「生活・対人面サポート」+「応募書類サポート」 を組み合わせた内容が多い印象です。
スキルアップ色が強い事業所もあれば、安定して通えることを重視している事業所もあります。
人と接しながら社会復帰の準備をしたい方に向いている

通所型の大きな特徴は、スタッフや他の利用者と日常的に顔を合わせることです。
そのぶん、
というメリットがあります。
一方で、体調が不安定な時期や、毎日通うこと自体が負担になる人にとってはかなりハードに感じることもあります。
通所型の就労移行支援事業所には、以下のようなところがあります。
ミラトレは、dodaチャレンジの運営元パーソルダイバース株式会社の就労移行支援事業所です。
関東から関西にかけ、全国に15箇所の事業所があります。
▶ パーソルチャレンジ・ミラトレ
在宅訓練型・オンライン型の就労移行支援事業所とは?

近年は通所型だけでなく、在宅やオンラインで利用できる就労移行支援サービスも増えてきました。

体調面の不安や、外出へのハードルが高い方にとっては、この形態は大きな後押しになるかもしれません。
在宅訓練型も就労移行支援事業所のひとつ
在宅訓練型の就労移行支援事業所は、通所型と同じく障害者総合支援法に基づいた福祉サービスのひとつです。一定の条件のもと、在宅訓練が認められています。
事業所とはオンラインでつながり、
- Web面談
- チャットや電話でのフォロー
- eラーニング・オンライン研修
- 在宅課題の提出
といった方法で支援が行われます。
メリットは身体的負荷を抑えながら訓練ができること
在宅型の大きなメリットは、
という点です。

特に、うつ症状が強い時期/対人不安が強い場合/感覚過敏などがある場合には、安心してスタートしやすい形とも言えます。
デメリットは自己管理の難しさとコミュニケーションの不足
一方で、
という側面もあります。

在宅だからラクではなく、自己管理力がある程度求められるのも事実です。
在宅対応型の就労移行支援事業所例
在宅対応型の就労移行支援事業所には、以下のようなところがあります。
manabyは在宅訓練対応型でありながら、東北から九州にかけ全国に30箇所以上の事業所があるのが大きなポイントです。在宅訓練対応型でも月1回以上の通所を要するところが多いため、お住いのエリア周辺に事業所があると、より負担が少なく便利といえます。
訓練には独自開発のeラーニングを使用し、Webデザイン・Web制作・プログラミング・事務系スキルの習得に対応しています。
就職先の約7割が特例子会社や障害者雇用枠であるのも大きな特徴です。
▶ 在宅×ITスキルで自分らしく働く【就労移行支援manaby】
キズキビジネスカレッジは、関東周辺と関西エリアに計10箇所以上の事業所を持っています。
就労移行支援機関では異例の、一般就労(クローズ)での採用割合が高めである点も大きな特徴です(例:一般就労58%/障害者雇用42%)。
就職先は、半数以上が大企業とそのグループ会社である点もポイントです。
プログラムは個別の要望や目標に合わせて設定され、必要なもののみを最短で学ぶ方式を取っています。
▶ 【キズキビジネスカレッジ】
在宅利用対応型の就労移行支援事業所について、特長や利用できる方の条件などについて、別の単独記事で詳しくまとめています。
▶ 在宅型就労移行支援とは?利用できる方・メリット・向き不向きを解説
特定分野に特化した就労移行支援事業所とは?

就労移行支援事業所の中には、特定の分野や職種に特化したプログラムを行っているところもたくさんあります。
たとえば──
- IT・プログラミング特化型
- Webデザイン・動画編集系
- 事務職特化型
- 軽作業・製造系特化型
- 発達障害に特化 など

どんな職種を目指すかがある程度明確な方にとっては、こうした特化型の事業所は相性が良い場合があります。
一般型と特化型との違い
多くの就労移行支援事業所では、特定の業種を意識したプログラムではなく、汎用性の高い訓練が行われます。
例えば、ビジネスマナーや生活リズムの安定など、基礎づくりが中心になることが多いです。
一方で、特化型の就労移行支援事業所では、
など、就職転職直結型の色が強い傾向があります。
一般型と特化型の特徴比較表
一般型と特化型の就労移行支援について、簡単に比較すると、以下のようなイメージになります。
| 一般型 | 特化型 | |
| 基本 方針 | 生活リズム・ビジネス マナーなど基礎訓練中心 | 特定職種の スキル訓練が中心 |
| 訓練 内容 | 軽作業・模擬業務 グループワークなど 幅広い | IT、デザイン、事務など 専門カリキュラム |
| 就職先 傾向 | 幅広い職種 | 選択した分野に 関連した求人が多い |
| 向いて いる人 | 方向性がまだ 定まっていない人 | 目指す職種が ある程度決まっている人 |
メリットは効率的なスキルアップ環境

注意点は支援の質と求人職種の幅

ただし、注意したいのは──
という点です。
特化型就労移行支援が向いているのはこんなタイプ

こんな方は、特化型の就労移行支援が向いていると言えます。

もしまだ、「自分には何が向いているか分からない」「体調が安定していない」「まずは生活リズムを整えたい」という段階なら、まずは一般(汎用)型からスタートする方が安心なケースもあります。
特化型の就労移行支援事業所例
Neuro Diveは、AIなどを活用したデータ分析や業務効率化など高度なITスキルを取得し就職を目指す、特化型の就労移行支援事業所です。
即戦力となる人材育成プログラムを基本とし、就職後の定着率は96%を超えています。
通所型のみの対応で、事業所は関東から九州に掛け全国5箇所となっています。
毎週Web上で説明会(30分)が開催されており、個別相談会(30分)も設けられています。事業所に直接見学に赴く前に広く情報を入手でき、じっくり検討することが可能です。
▶ 【Web説明会受付中!】AIやデータサイエンスが学べるIT特化の就労移行支援【Neuro Dive】
ジョブトレIT・Webは、IT・Webスキル特化型の就労移行支援事業所です。
Webデザイナーコース・ITエンジニアコース・動画編集コースの3つのコースが用意されており、利用コースは通所開始後に決めることができます。
通所型のみの対応で、事業所は関東から関西に掛け全国6箇所となっています。
プロ講師が常駐し、いつでも質問できる環境が用意されています。教材には、名門スクールデジタルハリウッドの動画講座や、Adobe社のソフトが使用されます。
就職率は98%を誇るのも大きな特徴です。
▶ 障害者専門のIT・Web就労支援サービス【atGPジョブトレIT・Web】
ひとつ前でご紹介した「ジョブトレ」が運営する、うつ専門コースになります。ほかにも、発達障害コース・統合失調症コースが用意され、特性にあったきめ細やかな支援を目指しているのが大きな特徴です。
コース別で対応する事業所が異なり、関東・関西・東海エリアを中心にそれぞれ5箇所前後用意されています。
プログラムの内容はIT・Webコースとは異なり、幅広い業種に対応できる汎用型が中心となります。
就職率は97%を誇り、幅広い業種と規模の企業へ就職実績があります。
▶ 【atGPジョブトレ うつ症状コース】
就労移行支援の選び方|大切な視点は?

就労移行支援は、「どこも同じ」ではありません。事業所ごとに、支援の方針・雰囲気・得意分野が大きく異なります。
だからこそ大切なのは、どこの事業所が有名なのかではなく、「自分に合うのはどこなのか」です。

こちらの章では、見落としがちな視点を整理していきます。
就職率より「自分が継続できるか」
就労移行支援を探していくと、つい就職率に目がいきがちです。就職率などの実績を表す数字は、もちろん一つの目安にはなります。
しかし本当に大切なのは、選んだ環境で、自分が無理なく通い続けられるかどうかです。継続できなければ、どんなに実績のある事業所でも意味がありません。
今の体調・生活リズムを基準にする
今の自分の体調や生活リズムを無視して「理想」で選ぶと、後から苦しくなります。

選ぶ基準は未来の自分ではなく、今の自分を基準にしましょう。
体調を崩したときのことを、冷静に思い出してみましょう。
1か所で決めない【見学・比較は大前提】
就労移行支援は、必ず見学できます。むしろ、見学せずに決めるのはもったいないです。
実際に見学に行くことで、サイト上では見えてこないポイントに気づくことができます。
まとめ|就労移行支援選びは自己分析と見学で8割決まる

就労移行支援事業所に、絶対の正解はありません。
通所型の方が訓練になる方もいれば、在宅型のほうが安定して継続できる方もいます。
特化型でスキルアップに繋げられる方もいれば、まずは基礎から順番に取り組む方が現実的な方もいます。
繰り返しになりますが、大切なことは、どれが一番かではなく今の自分に合うかどうかです。
自分の状態が変わると当然ながら、選択肢も変わっていきます。
比較してもいいです。
たくさん悩んでもいいです。

自分に合う形を、焦らず選んでいきましょう!
もう一度振り返ってみたい方は、こちらからもジャンプできます。



