
外に働きに出るとものすごく疲れてしまう。在宅で働けたらいいのにな…
そう考えたことはありませんか。
通勤の負担が減り、体調を整えやすくなる。対人ストレスも抑えられるかもしれない───。

精神障害を持つ方にとって、在宅勤務は魅力的な働き方のひとつです。
ただし――在宅で働く、というということは、決して「簡単でラク」ではありません。
在宅求人は、全求人数の割合から見ても数は限られており、スキルや経験によって選択肢の幅が大きく変わるのも事実です。
だからこそ大切なのは、「自分は在宅で働けるのか」ではなく、どんなルートから目指せるのかを一度整理してみることです。
制度を利用して転職準備する方法もあれば、
配慮のある働き方を目指す道、
スキルを磨いて広い市場から選ぶ道もあります。
今回の記事では、精神障害を持つ方が在宅での働き方を考える場合の主なルートを整理していきます。

あなたの今の状況に合った道がないかを、一緒に探していきましょう!!
何を隠そう私も精神障害の当事者で、在宅で働いています!
精神障害者が在宅で働く場合の5つのルートとは?
精神に障害を持つ方が「在宅で働く場合の方法」というのは、ひとつではありません。
本記事では、在宅で働くことをゴールと仮定し、ゴールまでのルートを以下の5つに分類してご紹介していきます。
- 就労移行支援(在宅型含む)でスキルアップしてから在宅での働き方を目指す
- 障害者雇用で在宅勤務を目指す
- 一般就労で在宅勤務求人を探す
- 転職エージェントを活用して在宅勤務を目指す
- フリーランス・業務委託として在宅で働く
❶〜❺は、どの方法を選んでも「ラクに在宅で働けるようになる」というわけではない点は共通しています。

まずは主なルートを整理してみましょう。
① 就労移行支援(在宅型含む)でスキルアップしてから転職

働くこと自体にブランクがある方や、まだまだ体調の波が大きい場合、いきなり就職活動を始めるとスムーズに進まないリスクがあります。準備期間を設けてから転職活動に臨むと、結果的に安定させやすい傾向にあります。
そんなときに利用できるのが、就労移行支援サービス※です。
※就労移行支援サービスを利用する場合、利用にかかる費用は世帯収入によって計算されますが、8割の方は自己負担無しで利用しています。
就労移行支援サービスには、事業所まで通う「通所型」と、自宅からプログラムに参加できる「在宅対応型」があります。
在宅型の場合、最低でも月1回は事業所への通所が求められるケースが多いですが、それ以外は自宅でサービスが利用できます。
在宅対応型の就労移行支援サービスでは、
などを受けながら、段階的に働く力を整えていくことができます。

ただし、在宅対応型サービスは事業所によってプログラムや支援内容に幅があるため、問い合わせしたり実際に見学にいくなどの確認が必要です。
また、利用できる期間には上限があるため(最大2年位)、何となく通い始めるのではなく、しっかりした目的意識が大切になります。
在宅対応型の就労移行支援サービスについては、別の記事で詳しくサービス別の特色などを解説しています。
▶ 在宅型就労移行支援とは?利用できる方・メリット・向き不向きを解説
② 障害者雇用で在宅勤務を目指す

健康状態がある程度安定しており、今までに一定以上のスキルを身に着けている方の場合は、障害者雇用の在宅勤務で働くという選択肢があります。
障害者雇用での採用の場合は、
といった合理的配慮が期待できます。
一方で、在宅勤務可能なポジションは限られており、応募が集中しやすい傾向があります。特に在宅枠の採用は、スキルや職歴がある人ほど有利になりやすいのが現実です。

配慮もあってハードルも低い、というわけではない点は知っておいたほうが安心です。
障害者雇用の在宅勤務という働き方を目指す場合に知っておきたいポイントなどをまとめた記事もあります。
▶ 障害者雇用の在宅勤務という選択肢|求人の実態と向き・不向きを経験ベースで整理します
③ 一般就労で在宅勤務求人を探す

一般就労とは、障害を開示せずに働くいわゆるクローズ就労(一般的な求人すべて)を指します。IT職や事務職、Web系など、職種によっては在宅求人が見つかることもあります。
ただし一般就労の場合、基本的に配慮は前提ではありません。障害者雇用と比較すると、成果や自己管理能力がより強く求められる傾向です。
また、一般就労の在宅求人の傾向として、パートタイムよりもフルタイムに近い条件で働ける人を募集するケースが多いです(週4日以上など)。まだ体調が本調子でない方だと、条件に合う求人を見つけにくいかもしれません。

すでにある程度体調が安定していて、一定のスキルや実務経験がある人にとっては、こちらも選択肢が広がるルートです。
▶ 【公開前】一般就労の在宅勤務求人について
④ 転職エージェントを活用する

自分ひとりで探すだけでは、在宅勤務が可能な求人を見つけにくいことがあります。
そういった場合に選択肢として取り入れたいのが、転職エージェントの利用です。
障害者が利用する前提で考えた場合、転職エージェントは大きく分けると2つの利用方法があります。
① ひとつ目は、障害を開示したうえで、障害者枠を中心とした求人を紹介してもらうサービスへの登録。
② もうひとつは、障害を開示しないで(クローズで)、一般就労を前提とした求人紹介サービスへの登録です。
いずれの方法であっても、転職エージェントサービスを利用することで、
などの支援を受けられる場合があります。

ただし、転職エージェントで紹介される求人の内容や質については、求職者のこれまでの経験に左右されることが多いのも事実です。
登録すれば誰でも理想の在宅求人が紹介されるというものではありません。
▶ 【公開前】在宅求人を扱うエージェントについて
⑤ フリーランス・業務委託として働く

雇用契約にこだわらないのであれば、業務委託やフリーランスという形で、在宅で働く方法もあります。
出社の必要がなく、在宅で完結する仕事も多いです。裁量が大きく働き方が自由な一方で、
などの側面もあります。働き方の自由度はもっとも高いといえますが、安定性とのバランスを考える必要があります。

私のケースでは、精神疾患以外にも既往歴がある関係から、あえて在宅フリーランスという働き方を選んでいます。
誰でもカンタンなのでオススメです、とは言えないです(笑)。
在宅フリーランスという働き方について、もう少しフォーカスした記事もあります。
▶ 障害者の働き方で在宅ワークのフリーランスはアリ?|現実と向き・不向きを整理する
私が在宅フリーランスという働き方に至った経緯などについても、別の記事でご紹介しています。
▶ 体験談⑨ 退職後、働き方を試し続け今の形に落ち着いた私の実体験|迷いながら選んだ道
精神障害者が在宅で働くにはどのルートを選ぶべき?

在宅で働くためのルートはいくつかありますが、大切なのはどれが一番いい方法かではなく、今の自分に合うかどうかです。
焦って難易度の高い道を選ぶと、うまくいかなかったときに自信を失いやすくなります。
逆に今の状態に合ったルートを選ぶと、遠回りのようでいて結果的に安定につながりやすくなります。

ここでは、ルートを考えるための判断のヒントをいくつか整理してみましょう。
① 生活リズムは安定していますか?

もし、現状で上記内容に自信がない場合は、いきなり就職するよりも在宅型就労移行支援などを利用して、「働く土台」を整えるほうが安心かもしれません。
在宅勤務では周りに上司や同僚がいないぶん、自己管理能力がすべてになります。生活リズムが崩れてしまった場合は、そのまま仕事に直結していきます。
② 現在、他の応募者と比べて強みはありますか?

在宅求人は、通常の募集に比べ数が限られています。そのためどうしても「選ぶ側」よりも「選んでもらう側」になりやすいです。
上記リストの中に何かひとつでも強みがあれば、選択肢は広がります。逆に、スキルがほとんどない状態で在宅勤務求人だけを狙うと、想像以上に苦戦することもあります。

この現実は、知っておいたほうが後悔が少なくなります。
③ 配慮はどの程度必要ですか?

このようなケースでは、障害者雇用という選択肢が安心といえます。
一方で、
このような状態であれば、一般就労や転職エージェントを活用して、在宅勤務求人を探す方法も視野に入ります。
④ すぐ働きたい?社会復帰までの準備期間は取れる?

すぐに収入が必要な場合と、半年〜1年ほど準備期間を持てる場合とでは、選べる道は変わってきます。
準備期間を取れるケースでは、
これらを経験し身につけてから転職活動に動くほうが、結果的に選択肢は広がります。

在宅で働くことをゴールにする場合は、急ぐほど成功が難しくなるケースも多いというのを覚えておいて損はありません。
迷ったら「選択肢が広がる道」を選ぶのがおすすめ

もしも、今どう動くべきか迷ってしまう場合は、将来的に自分の選択肢が広がる方向はどちらか?という視点で考えてみてください。
スキルを積める環境/実績を作れる環境/働く感覚を取り戻せる環境 これらはどれも、遠回りに見えて実は近道になることがあります。
精神障害を抱えての在宅勤務はラクではない部分も
在宅勤務では通勤がありません。人混みもありません。対面での人間関係も減ります。そのため、「在宅で働けるなら、続けられるかもしれない」と感じる方も多いと思います。
実際に、在宅という働き方が合う人もいます。
ただし――在宅=ラク というわけではありません。

この言葉がどういうことを意味するのか、ひとつずつ解説していきます。
① 自己管理がすべてになる

通勤がないということは、仕事モードに切り替えるきっかけも自分で作る必要があります。
こういったことについて、隣で誰かがフォローしてくれるわけではありません。

体調が不安定な時期ほど、この「自己管理」が想像以上に負担になることもあります。
② 孤独感を抱きやすい
在宅で働く場合は、雑談もほとんどありません。人間関係のストレスが減る一方で、
といった点から孤独感を抱くこともあります。
「人と関わらない=楽」ではなく、「人と関わらない=自分で抱えやすい」面もあるのが現実です。
③ 成果で見られやすい
特に在宅勤務では、
といったポイントが重視されやすい傾向があります。配慮がある場合でも、「できること」が明確であるほど安定しやすくなります。

だからこそ、スキルや実績は無駄になりません!
それでも在宅勤務が合う人はいる

ここまでを読むと、

やっぱり自分には在宅勤務は無理なのかな…?
と感じてしまうかもしれません。でも、そういう話ではありません。
在宅勤務という働き方は、通勤で消耗してしまう人/対面環境で体調を崩しやすい人/自分のペースで集中できる人にとっては、大きな助けになる働き方でもあります(私がそうです)。

大切なのは、在宅勤務を理想として追うのではなく、自分に合うかどうかを見極めること。そのために就労移行支援などを利用し、準備段階で経験してみるという選択肢もあります。
私も実際に今の働き方になるまでのあいだ、通勤と在宅ワークの両方を試した時期があります。
▶ 体験談⑨ 退職後、働き方を試し続け今の形に落ち着いた私の実体験|迷いながら選んだ道
まとめ|精神障害者が在宅で働く道はあるが戦略は必要

精神障害を持つ方が在宅で働くことは、不可能ではありません。
実際に、制度を活用して準備する方もいれば、スキルを磨いて一般就労やフリーランス・業務委託という形で在宅勤務を実現している方もいます(私がそうです)。
ただし――
在宅での働き方は、なんとなくで目指せるほど簡単な道ではありません。求人数は限られ、選ばれる側になる場面も多くなります。
だからこそ大切なのは、今の自分の状態を知ること/どのルートが現実的かを整理すること/必要なら準備期間を取ることです。
焦らなくて大丈夫です。でも、ゴールまでの戦略はあったほうがいいと思います。

在宅という働き方を理想で終わらせるのではなく、現実的な選択肢にしていく。そのための一歩を、今日から少しずつ積み重ねていければ十分です。
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