在宅ワークやフリーランスという働き方は、「通勤がない」「人と直接関わらなくていい」といったイメージから、
精神障害のある人に向いているのでは?
と語られることが少なくありません。
特に、障害者雇用の在宅勤務について調べていると、

いっそ、フリーランスのほうが楽なのでは?
と考えたことがある人もいると思います。
ただ、「在宅で働く」という点は共通していても、障害者雇用の在宅勤務とフリーランスの在宅ワークでは、
前提となる仕組みも、求められる自己管理の重さも、大きく異なります。
今回の記事では、
精神障害のある人が「在宅×フリーランス」という選択肢を考えるときに、
知っておいてほしい現実や注意点
について、整理していきます。

それでもなお、選択肢になり得るケースについても、私の経験をもとにまとめていきます。
在宅フリーランスは在宅勤務の社員とここが違う

「在宅で働く」という点だけを見ると、障害者雇用(社員)の在宅勤務と、フリーランスの在宅ワークは、似ているように見えます。
しかし実際には、両者はまったく別の前提で成り立つ働き方です。
障害者雇用の在宅勤務では、
会社と「雇用契約」が結ばれています(=社員やアルバイトなどを指します)。
業務内容・勤務時間・給与・配慮などについては就業規則に定められており、規則にしたがって働く形になります。
一方で、フリーランスや業務委託の場合は、会社と雇用関係は結ばれません。
収入の体系は給料ではなく「報酬」になり、納品物(収めた成果)に対して、対価を受け取る働き方になります。
「報酬」という概念の基本は、同じモノを作るのに10時間かかっても1時間で仕上げられても、同じ金額が支払われるという考え方です。

時間ではなく「結果」に対して支払われるので、想像以上にシビアだと感じる人も多いです。
それ以外にも、フリーランスには次のような特徴があります。
- 体調が悪くなったときに、業務量を調整してもらえる保証がない
- 仕事が途切れると、そのまま収入が途切れる可能性がある
- 業務の切り出しや進捗管理をしてくれる人がいないケースも多い
そのため、

在宅=楽そう!
人と関わらないから気楽そう!
というイメージだけで選ぶと、想像以上に負担が大きいと感じる人も少なくありません。
精神障害者が在宅フリーランスを仕事に選ぶときの現実

在宅フリーランスという働き方は、
精神障害のある人にとって「通勤がない」「人間関係の負荷が少なそう」という理由から、魅力的に映ることがあります。
ただし、実際に検討する段階では、在宅であること以上に、働き方そのものの性質を理解しておく必要があります。
フリーランスは、
- 仕事を探す
- 条件を交渉する
- 納期や品質を守る
- トラブルが起きたときに対応する
といったことを、基本的にすべて自分で引き受ける働き方です。
体調に波があっても、
「今日は無理だから代わりに誰かがやってくれる」という前提ではありません。
また、精神的にしんどい時期ほど、
- 作業を進められない
- 営業や提案ができない
- 連絡を返すのがつらい
- 判断力が落ちる
といった影響が出やすく、それがそのまま収入や信用に直結してしまう点も、雇用される働き方とは大きく異なります。

たとえば、漫画家や小説家を思い浮かべると、分かりやすいかもしれません。
自宅で気ままに仕事をしているように見えても、締切や品質の保持、継続的に成果を出し続けることへのプレッシャーは、すべて本人が背負っています。

体調が悪いからといって締切が延びる保証はなく、描けなければそのまま収入に影響します。
「在宅だから安心でラク」ではなく、在宅でも自己管理と責任は重くなるというのが、フリーランスという働き方の現実です。
それでも在宅フリーランスが選択肢になり得るケース
ここまで、在宅フリーランスの厳しさを中心に書いてきましたが、すべての人にとって「避けるべき働き方」というわけではありません。

前提条件がある程度そろっている場合には、在宅フリーランスが現実的な選択肢の一つとして機能するケースもあります。
体調の波をある程度把握できている場合

精神に障害を持っていると、「調子の良い日・悪い日」の差が出やすい人も多いと思います。
在宅フリーランスを検討できるのは、
- 自分の体調が崩れやすいタイミングがある程度わかっている
- 無理をするとどうなるか、過去の経験から把握できている
- 休む判断や休むためのスケジューリングを自分でできる
こうした自己理解が進んでいる場合です。
体調管理が完璧である必要はありませんが、「調子が悪くなったらどう立て直すか」まで含めて想定できているかは大きなポイントになります。
業務内容や求められる成果が具体的にイメージできる場合
精神に障害を持つ方が在宅フリーランスについて考える場合、「何をどこまでやれば報酬が発生するかが明確な仕事」ほど難易度が低いといえます。
たとえば、
- 作業内容がはっきりしている
- 納品物や成果の形が決まっている
- 評価基準があいまいではない
こうした案件であれば、心理的な負荷を抑えながら働くことも可能です。

逆に、「とりあえず手伝ってほしい」「柔軟に対応してほしい」といった曖昧な部分が多い仕事は、のちのち精神的な負担が大きくなりがちです。
メールやチャットでのコミュニケーションが大きな負担にならない場合

在宅フリーランスは、人と会わない代わりに、文章でのやり取りが中心になります。
- メールやチャットで状況を的確に説明できる
- 進捗やトラブルを文章で共有できる
- 即レスを求められすぎない環境を選べる
こうした条件がそろえば、対面よりも気持ちが楽になる人もいます。

一方で、文章でのやり取りそのものがストレスになる人にとっては、在宅であっても負荷が減らない可能性があります…。
主な収入源としてではなく副収入レベルから始められる場合

在宅フリーランスを検討する場合、最初から生活を支えるメイン収入として考えるのではなく、「試す・慣れる・整える」段階として始めるほうが、現実的なケースが多いです。
たとえば、
- 副業として収入の一部を補う程度
- リハビリ的に仕事の感覚を取り戻す目的
といった 体調や生活を優先した目的で始める人もいれば、
- 自分に合うかどうかを試してみたい
- すでに持っているスキルを、実務を通して伸ばしたい
という キャリア面を意識した目的で始める人もいます。
特に後者の場合、フリーランスでは
- 案件ごとに仕事を選べる
- 得意な分野や負担の少ない業務に寄せやすい
という点で、会社員よりも自由度が高く感じられることがあります。

いきなり「フリーランスになる/ならない」の二択で考えるのではなく、今の自分にとって無理なく始められるかという視点で考えることが大切です。
在宅フリーランスも選択肢の一つ|いまは選ばない判断もあり

在宅フリーランスという働き方は、精神障害のある人にとって、確かに魅力的に見える面もあります。
通勤がなく、時間の裁量もあり、
人間関係の距離を保ちやすい──
そうした要素は、体調や特性によっては大きな助けになります。
一方で、ここまで見てきた通り、在宅フリーランスは「自由な働き方」であると同時に、
- 収入が不安定になりやすい
- 守ってくれる制度や人が少ない
- 体調不良がそのまま仕事に影響しやすい
という現実も抱えています。
そのため、在宅フリーランスが合うかどうかは、障害の有無ではなく、今の自分の状態や環境との相性で決まる部分が大きいと感じます。
在宅フリーランスを選ぶことも、あえて選ばないことも、どちらも間違いではありません。

在宅でなければだめ
フリーランスになれたら成功!
そんなふうに自分を追い込む必要はなく、今の自分が続けられそうか、回復や安定につながる働き方か、その視点で考えてもいい選択肢です。
このブログでは、
障害者雇用、一般就労(クローズ)、在宅勤務、在宅フリーランスと、
さまざまな働き方を紹介しています。

数ある働き方のうち、どれか一つだけに正解があるわけではなく、自身の置かれた状況によって選び直してもいいものだと思っています。
いまは選ばない、という判断も含めて、あなた自身が納得できる形を見つけるための材料として、この記事が役に立てばうれしいです。


