障害者手帳を取得した直後は、

これからは、障害者雇用で働くしかないのかな…?
と感じてしまう人も少なくありません。

私自身も手帳を取ったばかりの頃は、それまで積み重ねてきた経験やスキルが、一気に使えなくなってしまったような気がしていました。
けれど実際には手帳を持ったからといって、あなたのスキルや選択肢が全部消えるわけではありません。
障害者雇用(オープン)だけでなく、一般就労で働く「クローズ※」という選択肢も、状況によっては現実的な道になり得ます。
※一般就労(クローズ)とは、障害のことを企業に開示せず、これまでと同じように採用選考を受けて働く形です。
この記事では、精神障害者手帳の所持者が一般就労(クローズ)について考えるとき、どう捉えるといいのかについて、私自身の経験も交えながら整理していきます。
障害者手帳を取ると一気に視野が狭くなりやすい

障害者手帳を取った直後は、情報も気持ちも整理しきれないまま、一気に世界が変わったように感じやすい時期だと思います。
私自身もそうでした。

それまで当たり前だと思っていた、「一般枠で働く」「これまでの経験を活かす」といった選択肢が、手帳を取った瞬間に急に現実味のないものに見えてしまったんです。
支援機関やネットで情報を集めると、まず出てくるのは障害者雇用の話が中心になります。
それ自体はとても大切な制度ですが、その情報だけに触れ続けていると、

もうこの方向しかないのかな?
普通に働くのは無理なのかな…??
と、知らず知らずのうちに視野が狭くなっていきます。
特に、体調を崩した直後や診断がついたばかりの頃は、どうしても「できなくなったこと」に意識が向きがちです。
その結果、本来まだ残っているはずのスキルや選択肢まで、自分で切り落としてしまうこともあります。
でも、あとから振り返って思うのは、手帳を取ったこと自体が、選択肢を減らしたわけではなかったということです。
手帳を取ったばかりの時期は、
- 判断を急がなくていい時期
- 選択肢を狭めたまま決めてしまわなくていい時期
でもあります。
まずは、「今は、視野が狭くなりやすい状態にあるんだな」と自覚するだけでも十分です。
私が実際に精神障害者手帳を取ったばかりの頃も、「自分は障害者枠で働くしか道はない」と思い込んで転職活動をしていました。
当時の様子については、体験談として別の記事でご紹介しています。
▶ 障害者雇用で転職したいと思ったら|私が実際にやったこと
一般就労(クローズ)という選択肢が「消えるわけではない」

障害者手帳を取得すると、「自分はもう、一般就労では働けないだろうな…?」と感じてしまう人も少なくありません。

私自身も当時は、それに近い考え方をしていました。
身体を壊して会社を辞めていたので、どこにいっても無理なんだろうなと思っていました。
でも実際には、
障害者手帳を持っていても、一般就労で働くことはできます。
この働き方(=クローズ就労)には、向き・不向きはあります。
体調が不安定な時期や配慮が必要な状況では、無理を重ねてしまうリスクもあります。
一方で、
- ある程度仕事のスキルがある
- 業務内容が明確で、自分に与えられた裁量が大きい
- 体調が比較的安定している時期
- 体調を崩した原因と対策方法が明確になっている
こうした条件がそろうと、クローズという選択肢が現実的になる場面もあります。
大切なのは、「障害者雇用か、一般就労か」という二択で考えないことです。

働き方というのは、その時の体調、環境、仕事内容によって、選び直していいものだと知っておくことが、のちの自分を助けてくれます。
障害者雇用=安心「とは限らない」現実

心身を壊した経験を持つとき、障害者雇用という言葉を聴くと、
- 配慮してもらえる
- 無理をしなくていい
- 安心して働ける
といったイメージを持つ方も多いと思います。
実際に、制度として守られている部分があるのは事実です。
合理的配慮を求めることができ、体調や特性についても、あらかじめ共有したうえで働ける環境が用意されています。
ただし――

障害者雇用=100%安心、とは限らない
というのが、実際に現場を見てきた私の正直な感覚です。
実際に障害者雇用で働いていた当時の私の体験談もいくつか載せています。
▶ 障害者雇用で正社員として入社したけれど上手くいかなかった話
環境による差は想像以上に大きい

障害者雇用とひとことで言っても、
- 企業の規模
- 親会社の業種
- 一般企業か特例子会社か
- 配属される部署
- 上司や周囲の理解度
こうした要素によって、働きやすさは大きく変わります。
同じ「障害者雇用」という枠組みでも、安心して長く働ける人もいれば、強いストレスを感じてしまう人もいるのが実情なのです。
「守られている」ことが負担になるケースもある

配慮があること自体はありがたい一方で、
- 仕事内容が限定されすぎる
- 成長の機会が少ない
- 周囲との役割差を強く感じる
といった形で、「配慮されているはずなのに、息苦しい」と感じるケースもあります。
これは本人の能力や努力の問題ではなく、制度と現場の運用がうまく噛み合っていないことが原因で起こるものです。
安心かどうかは「枠」では決まらない
ここまでの説明にあるように、精神に障害を持つ方が安心して働けるかどうかというのは、
- 障害者雇用か
- 一般就労(クローズ)か
といった、枠の違いだけで判断するのは難しいということです。
同じ障害を持つ方によっても合う・合わないがあり、同じ人であっても時期や体調によって選びやすい選択肢は変わります。
一般就労という選択肢(クローズ)
障害者雇用が誰にでも合うわけではないように、一般就労(クローズ)もまた、精神障害を持つ方にとって向き・不向きがはっきり分かれる働き方です。

一般就労の場合は、手帳を取る前にも見ていたような、ハローワークや転職サイト上の求人情報全てが対象になります。
一般就労(クローズ)で働くメリット
一般就労で働く場合、
- 職種や求人の選択肢が広い
- 障害の有無は関係なく「仕事ぶりそのもの」で評価されやすい
- キャリアアップやスキル獲得の機会が多い
といったメリットがあります。
特に、
- 体調が安定している時期
- ある程度の業務スキルや経験がある場合
には、選びやすいといえます。
一方で一般就労ならではの難しさもある
ただし、一般就労で働く場合は、
- 配慮を前提にできない
- 体調の波や通院について説明しづらい
- 無理をしてしまいやすい
といった難しさもあります。

「頑張れば何とかなる」と思って続けてしまい、結果的に心や体を消耗してしまうケースも少なくありません。
一般就労に適したタイミング
私自身の経験や、周囲の当事者を見てきた感覚では、
- 症状が比較的落ち着いている
- 働き方(勤務時間・業務内容)を自分である程度調整できる
- いざという時に相談できる先がある
といった条件がそろっている場合は、一般就労という選択肢を検討しやすいと感じます。
一般就労を選ぶなら整理しておきたいこと

社会人を経験したあとに手帳を持つことになった方の場合なのですが、
一般就労を検討する前には、一度立ち止まって考えておきたいことがあります。
それは、
- なぜ体調を崩したのか
- どんな環境や働き方が負担になっていたのか
を、自分なりに言葉にできているかという点です。
たとえば、
- 業務量が多すぎた
- 仕事内容が合っていなかった
- 人間関係や職場の雰囲気が合わなかった
こうした「原因」をある程度理解できていると、次に一般就労で選ぶときに、同じところでつまずきにくくなります。
一度大きく体調を崩したあとは、まずは回復に専念することが大切です。
ある程度落ち着いてきた段階で、
「自分はどんな条件なら働きやすいのか」を具体化しておくことが、次につながっていきます。
障害を持った状態での一般就労は、何もなかった頃と同じように働くことではありません。

一度立ち止まり振り返ったうえで、自分なりの「安全な働き方」を選び直す、その一つの方法だと思っています。
私自身も何度も合わない条件を選んで身体を壊してしまい、ようやく自分に合う条件を選べるようになった経緯があります。
▶ 退職後、働き方を試し続け今の形に落ち着いた私の実体験|迷いながら選んだ道
一般就労も「選択肢のひとつ」にすぎない
大切なのは、一般就労で働くことが「正解」でも「ゴール」でもない、ということです。
のちに転職して障害者雇用を選ぶこともできますし、在宅勤務や別の働き方に切り替えることもできます。

その時々の自分の状態に合わせて選び直していい選択肢のひとつというのが、一般就労(クローズ)だと思います。
まとめ|一般就労も「選択肢の一つ」として考えてOK
障害者手帳を取得すると、「もう一般就労は無理なのではないか」そう感じてしまう人は少なくありません。
私自身も、最初はそう思っていました。
けれど実際には、障害者手帳を持つことと、一般就労(クローズ)で働くという選択肢は、両立します。
大切なのは、「どの働き方が正しいか」ではなく、今の自分の状態を理解したうえで、どれを選ぶかです。
体調を崩した原因が整理できているか。
どんな環境なら無理なく働けそうか。
その答えは、人によって違います。
障害者雇用を選ぶのも、一般就労(クローズ)を選ぶのも、どちらも間違いではありません。
障害者手帳を取ったからといって、あなたのスキルや可能性や選択肢が消えたわけではないのです。

この考え方だけでも、今回の記事から持ち帰ってもらえたら嬉しいです。


