私は精神障害者手帳3級を取得後、今まで様々な働き方をしてきました。

特に、手帳を取った直後は気づかなかったのですが、私は長い間ある思い込みに縛られていました。
その「思い込み」とは、障害者手帳を取ったら、しごとは障害者雇用から「しか選べない」というものでした。
自分の体調や特性から無理はできない
一方で、生活のために働かなければならない
この2つの狭間で、私は長いあいだ悩み続けてきました。
その結果、いまの私がたどり着いた考え方は、
働き方の「選択肢」について、もう一度フラットに見直してみる
というものです。

この記事では、精神に障害を持つ方が転職や働き方を考えるうえで、私が大切だと感じた「視野を広げて選ぶ」という考え方について整理していきます。
私が精神障害者手帳を取ることになった経緯については、別の記事で当時を振り返っています。
視野を広げるという選択肢もある
最初にはっきりさせておきたいことは、精神障害者手帳を持っていても、働き方の選択肢は一つではない ということです。
大切なのは、どちらの枠で働くか ということよりも、どんな条件なら無理なく続けられるか という視点です。
障害者が仕事を探すときの2つの選択肢
精神障害者として仕事を探し始めた方は、選択肢には大きく分けて2種類あることを知ると思います。
ひとつ目は、障害者雇用(オープン就労)です。
これは、
を企業側に伝えたうえで働く方法です。
障害者雇用での就職転職は、配慮を受けやすい反面求人の内容や条件が限られるケースもあります。

私も実際に、障害者雇用で正社員として働いていた時期があります。
もうひとつは、一般就労(クローズ就労)です。
こちらは、
方法です。

私も実際に、障害者手帳を取得してから、一般就労のクローズで働いていた時期があります。
オープンとクローズ両方の経験があるのです。
大事なポイントは、障害者手帳を持っていても必ずしも、障害者雇用を「選ばなければならない」という決まりはない という点です。
障害者手帳を取ったあとも選択は自由
障害者手帳を取得すると、「これからは障害者雇用で働くしかない」と感じてしまう方が少なくありません。

私自身も、しばらくの間そう思い込んでいました…
ですが実際には、
障害者雇用(オープン)を選ぶか、一般就労(クローズ)を選ぶかは、その人の体調や状況によって決めていいもの です。
こうした条件について丁寧に考えていくことで、「自分にとって現実的な働き方」が少しずつ見えてくるようになります。
自分にとって無理のない条件を考える
障害者雇用か、一般就労か。
この二択で悩む前に、私が大切だなと感じるのは、今の自分はどんな条件なら働けそうか について、先に整理しておくことです。

手帳を取ってすぐの頃の私は、精神障害がある以上、選べる仕事は限られているという思い込みを、無意識のうちに持っていました。
しかし実際には、
選択肢が少なかったのではなく、条件が整理できていなかっただけだったのかもしれません。
「できる・できない」を感情ではなく条件で考える
体調を崩した経験があると、「また同じことを繰り返すかも…」という不安(感情)が先に立ちがちです。
その結果、「良いな」と感じる求人があっても、
と、可能性を早い段階で潰してしまいがちです。

私もまさにそうでした。
無意識のうちに、障害者採用以外の情報をシャットダウンしていたように思います。
のちに私は、できるか・できないかを感覚で判断するのではなく、条件に分解して考えてみる ことにしました。
私が意識したのは「環境」と「負荷」
具体的には、次のような視点で自分を振り返っていきました。
逆に、
このように考えていくと私の場合は、職種や雇用枠よりも先に、避けたい条件や必要な条件が少しずつ浮かび上がってきました。

大切なのは、「理想的な働き方」を考えることではなく、これなら致命的に潰れてしまわないというラインを知ることだったのだと思います。
私のケース|自己分析して見えてきた条件
ここからは、私自身が実際に行った自己分析について書いていきます。
といっても、特別なフレームワークを使ったわけではありません。
これまでの失敗や体調悪化の経験を振り返りながら、
を、ひとつずつ言語化していっただけです。
過去の経験から分かった「向いていない条件」
まず、はっきりしたのは頑張れば何とかなるではなかった点です。
過去の経験から、私には次のような傾向があると分かりました。
・集団行動が苦手
▶ 何度か克服しようと頑張ったが、結果的にうまくいかなかった
・人数が多い職場だと負荷が大きくなる
▶ 私は他にも既往歴があるため、あまり自分の経歴や病歴に触れる機会が増えてほしくない と感じている
・気を張る時間が長く続くと、体調に影響が出やすい

これらは「努力不足」ではなく、自分の「特性」として受け入れた方がいい部分だと感じるようになりました。
「できそうな条件」を残していく
次に、完全に無理な条件を除いたうえで、「これならチャレンジできそう」と思える条件を残していきました。
私の場合は、次のような点です。
この時点では、障害者雇用か一般就労かはまだ決めていませんでした。

先に決めたのはあくまで、「自分が壊れにくい条件」だけでした。
条件がクリアになると選択肢の見え方が変わる
このように条件を書き出していくと、私の場合は、

障害者雇用に絞る必要はないのかも…?
と感じるようになりました。
求人を見るときも、給与や雇用枠だけで判断するのではなく、「この環境は自分の特性にも合いそうか?」という視点で見るようになったのです。
この変化は、後の選択に大きく影響しました。
分析結果をもとに実際に選んだ働き方
自己分析で「無理な条件」と「できそうな条件」がある程度はっきりしてきたことで、私はようやく現実的に仕事を探せる状態になりました。
この時点で意識していたのは、理想の働き方を見つけることではありません。

まずは今まで通りの生活を続けながら、体調を大きく崩さず働けるかどうか その一点でした。
優先順位を決めて求人を見る
当時の私が求人を探すとき、次のような優先順位を自分の中で決めていました。
この条件を軸にして求人を見ていくと、自然と「合わなそうな仕事」は候補から外れていきました。

逆に、給与や雇用形態「だけ」を見ていた頃には目に入らなかった求人が、少しずつ候補として浮かび上がってきたのです。
結果的に選んだ職場
その中でご縁があったのが、小規模なIT企業の事務職でした。
完璧な条件ではありませんでしたが、「これなら続けられるかもしれない」と思えた職場でした。

仕事を覚えるまでは多少の負担はありましたが、業務が定着してからは精神的な消耗はかなり少なかったです。
「正解」より「無理の少なさ」を選ぶ
この経験から強く感じたのは、一般的に「正解そうに見える選択肢」が、必ずしも自分に合うとは限らないということでした。
たとえば、
- 一般枠か障害者枠か
- フルタイムかパートか
- 正社員か非正規か
こうした「区分」よりも、自分の特性に対して無理が少ないかどうかの方が、はるかに重要だったのです。

この考え方を持てたことで、仕事選びに対する恐怖や焦りは、以前よりかなり小さくなりました。
💡振り返りポイント|「枠」よりも「条件」に目を向けてみる
精神障害者として仕事を探していくとどうしても、障害者枠と一般就労のどちらで仕事を探すかという観点に引っ張られがちになります。

障害者雇用を選ぶべきなんじゃないかな…

一般枠で働くのは無理なんじゃないかな…

…だから、選択肢は限られているんじゃないかな?
私自身も、長い間そう思い込んでいました。
でも実際には、障害者手帳を持っていても、働き方の選択肢は一つではありません。
大切なのは「どちらの枠で働くか」よりも、どんな条件なら自分は無理しないで働けるのかを知ることでした。
こうした条件を整理することで、選択肢は少しずつ広がっていきます。
もしもいま、
「もう選べる仕事がない…」「自分には無理だ…」と感じているなら、
枠や肩書きからは一旦離れて、自分の特性としっかり向き合う時間を持って頂きたいなと思います。

固定観念を外せたとき、本当は選べたかもしれない道に気づくこともあるからです。
選択肢を知るためには誰に相談すればいいのかについて、別の記事で私の考察を書いています。
▶ 選択肢を知るために大切なのは「一人で考え続けないこと」


