障害者手帳を取り、障害者枠での転職を考えるようになると、「特例子会社で働く」という選択肢も出てきますよね。
ただ、特例子会社についてネットで調べていくと、
「一般企業(障害者雇用枠)と比較して、給与が低めになる傾向」
と説明されるケースが多いです。
そのため、

特例子会社って、給料が安いから生活が苦しそう…

一度特例子会社に入ったら、一生単純作業で終わるの?
といったように、不安を感じている方も多いことと思います。
実は、このブログを書いている私「まゆみ」は、精神障害当事者として、とある特例子会社で勤務していました。
所属は本社管理部門・職種は経理で、2014年から5年間にわたり在籍していました。

特例子会社で働いていた私が、現在の求人を見て思うことはこうです。
特例子会社には、「当たりの求人」も存在する。
つまり、
すべての特例子会社に対し、「一般の障害者枠より給与が低そう」と考えるのは違うかも
ということです。

また、精神障害当事者としての本音を打ち明けると、
今の時代は、
- 特例子会社を「ステップ(滑走路)」と捉える
- のちに、一般企業の障害者枠へステップアップする
というのが、最も賢い精神障害者の生存戦略なんじゃないかな~と考えています。

本記事の中で、これがどういう事を意味するのかを解説していきたいと思います!
\この記事を書いているのはこんな人/
【実体験】特例子会社でも一般企業より条件が良かった?
一般的に、「特例子会社は一般企業よりも給料が低い」と思われているようですが、実際の所はどうなのでしょうか。

まずは、厚生労働省のデータをもとに、障害種別ごとの平均賃金と年収を一覧表にしてみますね。
| 障害の種類 | 1か月の平均賃金 | 年収(賞与は別) |
|---|---|---|
| 身体障害者 | 23万5,000円 | 282万円 |
| 知的障害者 | 13万7,000円 | 164万4,000円 |
| 精神障害者 | 14万9,000円 | 178万8,000円 |
| 発達障害者 | 13万円 | 156万円 |
上記表は、厚生労働省が発表した2023年度のデータをもとに作成しています
▶ 令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省ホームページ
上記データによると、2023年度の精神障害者では、1か月の賃金は14万9,000円、賞与別の年収ベースでは178万8,000円が平均値でした。
一方で、ブログの別記事でも触れていますが、精神障害者として特例子会社に入って4年目(2016年頃)、かつ、時短勤務(週30時間)での私の収入はこんな感じでした。
| 項目 | 1か月の賃金 | 年収(賞与は別) |
|---|---|---|
| 本給 | 約15万8,000円 | 189万6,000円 |
| 職能基準 | 約3万4,000円 | 40万8,000円 |
| 住宅手当 | 1万2,000円 | 14万4,000円 |
| ※遅刻早退控除 (時短勤務なので) | △約4万2,000円 | △約50万4,000円 |
| 支給額合計 | 約16万2,000円 | 約194万4,000円 |
注釈として、当時の私はうつ病やパニック障害に悩まされており、フルタイム勤務が難しかったため、週30時間の時短正社員として働いていました。
時短勤務で働いていた当時の実績は、1か月の賃金は約16万2,000円、賞与別の年収ベースでは約194万4,000円でした。
そして、厚生労働省の令和5年度(2023年)のデータと、2016年当時の私の特例子会社での時短勤務収入を比較すると、以下のようになります。
| 項目 | 1か月の賃金 | 年収(賞与別) | 年収(賞与込) |
|---|---|---|---|
| 2023年の 精神障害者 の平均 | 14万 9,000円 | 178万 8,000円 | 雇用形態 勤務時間 企業規模 により異なる |
| 2016年当時の 私の特例子会社 での収入 ※週30時間の 時短正社員 | 約16万 2,000円 | 約194万 4,000円 | 236万 4,000円 (賞与は月給の 約2.59か月分) |
| 差額 | +約1万 3,000円 | +約15万 6,000円 | - |
上記比較表でも分かる通り、
2016年当時の実績でも、2023年の精神障害者の平均収入と比べて、
特例子会社で月額で約1万3,000円・年収ベースでは約15万6,000円ほど、上回る収入を得られていました。
さらに私の会社では、別途賞与が支給されたため(時短勤務の私で月給の約2.59か月分)、賞与込みの年収は約236万4,000円でした。

これを見て分かるように、「特例子会社だから給与が安い」とは限らないのが実情なのですよ。
なぜ好条件だったのか?元特例子会社本社勤務女子の分析
当時の私の給与は、なぜ2023年の精神障害者平均よりも上回ることができたのでしょうか。
特例子会社の本社で経理をしていた私が分析すると、以下の要素が大きいと考えています。
このように

特例子会社だから給料が低そう
と、一括りに捉えて、はじめから候補から外すのではなく、

親会社の規模や職種をしっかり見てから考えたほうが、選択肢が広がるかなと思いますよ!
令和の「当たり」特例子会社を見分ける3つのチェックポイント
「給料が安そうだから」という理由だけで候補から外してしまわないために、特例子会社の条件を見る際に見ておくべきチェックポイントを確認しておきましょう。
① 親会社の業績と資本関係
特例子会社のなかでも、障害者雇用の平均「以上」の給与水準を求める場合は、大手企業のグループ会社を中心に探してみましょう。
一般的に、親会社が大手企業であるほど、給与体系をはじめ福利厚生も安定する傾向にあります。

私がいた特例子会社では、通勤手当はもちろん、出勤日数分の食事手当や、住宅手当、家族手当、資格手当(社労士等)などもありましたよ!
② 職種|専門的な知識やスキルを要する職務か
「特例子会社の障害者求人」というと、軽作業・郵便物の仕分け・清掃などの単純作業を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、特例子会社内で行われる仕事のなかでも、以下のような職種は専門スキルを要するため、軽作業等の職種と比べて給与が高くなる傾向にあります。

私が転職活動していた当時から、特例子会社の求人は、部署や職種別で募集要項(給与)が書かれていましたよ。
当時の私はひとり暮らしをしていたので、給与面では妥協できなかったのです。
③ エージェントの「非公開求人」を狙うのも手
2014年当時の私が、特例子会社(本社管理部)の求人を見つけて応募したのは、ハローワーク経由でした。

ハローワークで紹介状を貰い、応募書類を送付し、書類選考を通過後は3回の面接と筆記試験に加え、2週間の職場実習を経て採用に至りました。
親会社の知名度が高かったこともあり、当時の特例子会社には応募書類が毎日のように届いていました。
人事部門では、年間を通してかなりの時間を採用業務に費やしていました(同じ部屋で仕事をしていたので、当時の人事の忙しさはよく覚えています)。
しかし現在では、特例子会社求人の中でも条件の良いものは、転職エージェントに預けられ、非公開で募集される割合が高くなっています。
求人が非公開にされるのには理由があり、
などの要素が大きいです。

私が在籍していた当時の特例子会社でも、採用担当部署は一年を通じ、応募者の対応で本当に忙しそうにしていました。
名前が知られた会社であったため、応募者が殺到していたからだと思われます。
精神障害者のための「2段構え」キャリアアップ戦略
今回の記事では、私から精神障害当事者の読者の方に向けてひとつ、提案したい考え方があります。
それは、特例子会社を「転職のゴール」と捉えるのではなく、
キャリアの経過地点と捉える
という新しい考え方です。

これがどういう事を指すのか、次のステップで説明していきますね。
キャリアアップ戦略案
- STEP 1特例子会社で「5年の勤続実績」を作る
- 精神障害者にとって最大の武器は「安定して働ける証明」
- 理解のある環境で5年働けば、市場価値は爆上がりする
- STEP 2最新ツール「就労パスポート※」などを利用し、実績を可視化
特例で受けた配慮や、できた業務を記録し、次の転職への「証明書」にする。
- STEP 3実績を武器に、条件の良い一般企業(障害者枠)へ
5年経ったあなたはもう「実務経験者」。障害者専門の転職エージェントを使い、より年収の高い一般企業を対等に選べる立場になる。
STEP 1|特例子会社で「5年の勤続実績」を作る
精神障害者にとって、障害者雇用の転職で苦労するポイントのひとつと言えるのが、「安定して働けることをどう証明するか」です。
裏を返すと、安定して働ける証明となるものがあると、精神障害者にとって最大の武器になります。
この「安定的に働ける証明」となり得るもののひとつが、特例子会社での勤続経験です。
配慮のある環境で勤続することで、精神障害者であっても市場価値は上がると言えます。

特例子会社での勤務を経験することで、「どんな配慮があると働きやすく、続けられるのか」について、分かりやすく他者に説明できるようになるのです。
今後、どこで働く場合においても、同僚や上司に対して「必要な配慮を適切に説明できるスキル」というのが、とても大切な要素になります。
STEP 2|最新ツール「就労パスポート※」などを利用し実績を可視化
「就労パスポート」とは、厚生労働省が2019年に公表したツールです。
自身の特性や希望する配慮事項を整理し、就職活動や職場定着の場面で事業主にわかりやすく伝えることを目的として作られました。

必ずしもこのフォーマットを使う必要はありませんが、就労パスポートにある内容をもとに、自分の特長やアピールポイント・配慮事項などを整理しておくことをオススメします。
STEP 3|実績を武器に、条件の良い一般企業(障害者枠)へ
特例子会社で安定的な勤務を続けるうちに、それは自身の大きな実績に変換していきます。
安定的な勤務実績や、業務を通じて得たスキルを武器に、あらためて条件の良い一般企業(障害者枠)へ転職することが可能な状態となります。
この段階では、
これらのポイントを押さえていきましょう。
遠回りのように見えるかもしれませんが、精神障害者として働きながらキャリアアップする方法としては、これが最も手堅いルートだと考えています!
一般企業への転職で失敗しないための「情報収集」の新ルール
特例子会社と比べると、一般企業での「(精神)障害に対する理解度」は、それほど高くないです。
そんななか、私が特例子会社で5年働いて分かったのは、
自分の特性に合う場所(職場)を、プロの力を借りて複数比較することの重要性です。

ここでは、あなたの現在の状況に合わせた失敗しないための相談先を紹介していきます。
大きく分けると、以下2つの相談先があります。
- 障害者特化型転職エージェントの活用
- 転職に必要なスキルが足りていない、と感じる場合は、就労移行支援の活用
① 障害者特化型転職エージェント|今すぐ転職したい方へ
大手企業の非公開求人を含め、障害者求人を条件別で比較したい場合は、実績のあるエージェントに登録するのが近道です。

今回ご紹介するエージェントは、基本的に登録すると担当者がつきます。
▓ dodaチャレンジ
(特徴:エージェントが主体・人材大手パーソルグループの安定感が強み)
▶ 身体・精神・知的など、各障害の特性に合わせた専任アドバイザーが在籍。
全求人の9割が非公開となっており、大手・優良企業の求人が豊富。
私のような「経理」や「事務」の職種で、大手でキャリアを積みたい方は、まずはここに相談し、今の市場価値を確認してみてください。
\登録して市場価値を確かめよう/
▓ アットジーピー【atGP】
(特徴:求人サイトとエージェントの両方を持ち、障害者転職のパイオニア企業が運営)
▶ 自分で求人を探せるサイト機能が充実し、登録後はスカウトも届く仕組みであるため、累計登録者数はトップクラスの18万人超。
事務職から専門職・全国各地域まで、幅広い求人を持っています。
\登録するとスカウトが受けられるように/
② 就労移行支援|まずはスキルを身につけ「当たり」を狙いたい方へ
「私にはまだ実績・実力がない」と感じる方は、就労移行支援で「自分の武器や強み」を作ってから転職に挑むのが、賢い戦略です。
今回は、就労移行支援6社を3つのタイプに分類してご紹介していきます。
先端AIやITの専門スキルを身につけ、高待遇を狙いたいなら
▶ がオススメです
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体調を考え、在宅訓練からスタートしてスキルを上げていきたいなら、
▶ がオススメです
\全国30箇所以上に事業所あります/
通所しながら体調を安定させ、働くリズムを整えたいなら
▶ がオススメです
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上記でご紹介した事業所以外にも、
「Webデザイナーコース」「ITエンジニアコース」「動画編集コース」の3つのコースから選べる、IT・Web特化型の
障害者雇用だけでなく、一般雇用への就職者の割合が半数近くにのぼる、事務職・PCスキル型の
うつや統合失調症などの障害別に就労支援のコースが設けられている、メンタル・体調重視型の
以上の6事業所を、タイプ別オススメ事業所として推しています。

どのタイプがいいか迷ったら、まずは自分の今の体調と相談してみてください。
のように、方向性に合わせて選ぶのが、当たりを引くための最短ルートですよ!
まとめ
「特例子会社はやめとけ」という声に惑わされないでください。特例子会社とひとことに言っても、その数は600社以上にのぼります。
そのなかには、適切な配慮を受けながら、自身の就労スキルをあげていける職場も多く含まれています。
以上より、

自分に合った「当たりの特例子会社」を見つけ、将来の自分に投資していくという考え方も、十分現実的と言えるのです。
まずは、今の市場にはどんな「非公開求人」があるのか、チェックすることから始めてみましょう。
